米国の金融緩和による構造的なドル高

本ブログではこれまで中長期的なドル安を見込んできたが、この方針を見直す必要があると判断した。

直近の記事でも何度か書いてきた通り、現在の強気相場が続く限り、ドル安は起こらないかもしれない。この考えへの確信が強まり、ドル安シナリオに賭けることにはリスクがあると感じている。

ドル安で買うべきは円かユーロか

2019年、米国の中央銀行であるFRBは金融引き締めの撤回に始まり、3度の利下げやレポ市場への資金供給などの金融緩和を行った。有効な緩和余地が残っていない日銀に対して、FRBが緩和に動けばドル円は下落すると考えていた。

さらにFRBには未だ利下げ余地が残っており、短期国債は買い入れているものの、長期国債の買い入れも温存されている。金融市場は将来を織り込んでゆくから、こうした未実現の緩和余地は現在のドルの下落を引き起こすはずである。

しかし、対円でも対ユーロでも期待したようなドル安は起きていない。

FRBの金融緩和に支えられるドル高

金融政策の方向性にもかかわらず、なぜドルは売られないのかをずっと考えてきたが、むしろFRBの金融緩和がドル安を防いでいるのではないかと考えるようになった。

市場最高値を更新し続ける米国株と相対的に冴えない日欧の株式市場。10年国債の金利も米国が1%台後半であるのに対し、日欧はマイナス圏。日本や欧州の投資家が米国資産を魅力的と感じ、米国へ資金を流入させる。このとき為替ヘッジをかけずに投資すれば、彼らが米国の株や国債、社債を購入した資金はそのままドル買い圧力となる。あるいは海外企業が米国内で上げた利益を本国に還流させずに、米国内で運用する道を選ぶかもしれない。為替レートの傾向や金利水準を考えれば当然の判断である。

このような構造的な要因がドル安がなかなか起きない背景ではないかと考えている。この考えが正しければ、今後のドルの推移は米国資産が相対的に魅力的であり続けるかどうかにかかっている。端的にいえば株高が続く限り、ドルは下がらない可能性が高い。

FRBの金融緩和がドル安を期待させる一方で、その金融緩和が株式市場を支えて米国への資本流入を呼び、ドル安分をオフセットしているのではないか。金融緩和で米国の長期金利が多少下がろうとも、日欧より高利回りであることに変わりはないし、金利差縮小がかえって為替ヘッジを外した投資を後押しするかもしれない。

金融緩和 -> ドル安

金融緩和 -> 株高 -> 米国へ資金流入 -> ドル高

金融緩和 -> 米長期金利低下 -> 為替ヘッジなしでの投資 -> ドル高

ドル安の発生シナリオ

金融緩和で株高を演出しておきながら、自国通貨安の心配もない。現在の米国はそういう状況にあるのかもしれないが、美味しいところどりというわけにはいかないだろう。米株高でドル高になるのであれば、米株安でドル安ということになる。日欧から流入したマネーが出ていくときには、一気にドル安が進むことは避けられない。

だから長期的な目線でドル安を見込む考えに変化はない。しかし、ドル安はFRBの金融緩和の進展とセットで徐々に進んでゆくものではなさそうだ。金融緩和が株式市場を支えている間は安定しているが、その仕組みが限界を迎えたときに堰を切ったようにドル安が起きるのだろう。

まとめ

このように考えたときに、いつ起きるかわからないドル安に賭け続けるのは良い選択ではないという結論に達したのである。ドル円を空売りするのにも金利の支払いが発生するし、現在の強気相場がまだ終わりそうにない雰囲気も感じている。

とはいえ、現物で金ETFや金鉱株ETFを買っておくなどの形で長期的なドル下落に資金を投じることは可能である。より良い選択肢について探っていきたい。