英保守党勝利と米中第一段階合意、次の市場のテーマは

長らく金融市場の中心的テーマとなっていた政治面の問題が一旦の決着を迎えた。

英国総選挙はジョンソン首相の保守党が勝利

12日にはイギリスでBrexitの是非を巡って総選挙が行われ、与党・保守党が圧倒的な勝利を収めた。事前の報道では保守党のリードが縮まっていることが報じられていたが、蓋を開けてみれば大差での勝利となった。保守党の獲得議席は363議席となり、単独過半数に必要な326議席を上回った。これで1月末のEU離脱に向けて前進することができる。

英総選挙、ジョンソン首相が地滑り的勝利 1月末EU離脱を宣言

選挙結果を受けて金融市場ではポンドが大幅に値上がりした。

元々はEU離脱によって英国経済は壊滅的なダメージを受けるとされており、離脱に向けて状況が前進することはポンド相場にネガティブな影響を与えていた。しかし、総選挙が近づくにつれ、離脱を目指す保守党の勝利が濃厚になるとポンド相場は上昇し始めていた。今後の見通しについては離脱後の通商条件についてのEUとの交渉次第となるが、保守党の勝利に対してEU側からも前向きな反応があったようである。

EU、英総選挙の結果を歓迎 離脱交渉前進に期待

米中が第一段階合意

米中がついに第一段階の合意を迎えた。合意の内容として米国は15日に予定されていた1600億ドル相当の中国製品に対する関税発動を見送り、発動済み関税のうち1200億ドル相当の製品に対する関税を15%から7.5%に引き下げる。

一方で中国側は今後2年間で少なくとも400億ドル相当の農産品や、2017年比で2倍近い額のモノやサービスを米国から購入することを約束したが、その実現可能性については早くも疑問視されている。

Doubts raised over US claim of $40bn China farm purchases

合意内容は9項目あり、その中には協議の核心部分である知的財産権の保護や技術移転の強要についても含まれているようである。米国が今回引き下げた関税は発動済み対中関税の一部に過ぎず、トランプ大統領は残りの関税について今後の交渉カードにしていくと発言している。どうやら交渉は米国側に有利なペースで進んでいるようである。

金融市場の反応を見てみると、S&P500は最高値を更新したものの上げ幅は限定的であり、逆に材料出尽くしで下げたわけでもない。

ドル元相場を見ても、12日の元高がリセットされた程度の動きであり、市場参加者が合意の内容について測りかねているように思える。

今後の市場のテーマ

英国総選挙と米中第一段階合意という大きなイベントを通過した今後の金融市場では、これらのテーマは引き続き重要な意味をもつだろうか。それとも賞味期限切れとなるのだろうか。

英国のEU離脱に関しては保守党が過半数議席を確保したことから、EUとの交渉は次第に進展していくのではないか。一方で米中協議についてはすぐに第二段階の交渉が始まるとされており、その交渉自体がさらに細かな段階に分けられる可能性が示唆されるなど、今後も長引きそうな気配である。貿易戦争はトランプ大統領の選挙戦略としての面が強く、おそらくは完全合意は大統領選の後になるのかもしれない。ただし、今後の協議進展は合意度合いが100%に近づいていく過程に過ぎず、悪化していた米中関係が収束に向かった今回の合意ほどのインパクトはないと思われる。

政治面の問題がようやく消化されたことで市場の動きにも変化があるだろう。個人的には金融市場の動向についてFRBの流動性供給が本命だと考えているので、そちらについても状況を整理したい。