米国側の譲歩で米中協議進展期待、株式市場は過去最高値を更新

中国との通商協議に関して、米国側の姿勢が軟化している。

まず初めに米国のロス商務長官から第一段階の合意に楽観的なシグナルが出された。このような前向きの発言はこれまでも出し入れされていたため、これだけであればいつものことである。

米商務長官、第1段階の対中貿易合意に楽観的-中国首相と会談

しかし、続いて米国が対中関税の一部撤廃を検討していることが報じられた。協議の進展のためなら米国には譲歩するつもりがあるということであり、これまでより一歩踏み込んだ歩み寄りの印象を受ける。

US considers dropping some tariffs on China

一方で中国側の姿勢は、「さらなる関税撤回を要求」という強気なものであり、米中協議が中国側のペースで進んでいることが明白になってきた。

中国、「第1段階」合意でさらなる関税撤回を要求=関係者

トランプ政権の姿勢が軟化した理由は何だろうか。弾劾リスクの高まりを懸念してかもしれないし、大統領選での再選が怪しくなってきたからかもしれない。メディアの調査では多くの有権者、特に低所得者層が現在の経済環境に満足していないことが明らかになってきている。また別の面から見れば、トランプ大統領はFRBがバランスシートの拡大を再開したことに一定の満足をしたのかもしれない。とにかく、トランプ大統領には中国との休戦を急ぎたい強い理由があるようだ。

Nearly two-thirds of US voters say Trump has not made them better off

こうした米中協議の進展期待を受けて、金融市場は大きく反応している。米国の3つの主要株式指数は揃って過去最高値を更新した。以下のチャートはS&P500のものである。

大きな変化の一つは、これまで主要株式指数に遅れていたラッセル2000指数も上昇していることである。米国市場では小型株にも資金が流入しており、非常に強い相場となっている。

米国の長期金利は上昇中であり、債券市場から株式市場へ資金が流れていることを示している。FRBのバランスシート拡大と合わせて、これらの流動性供給が株価を持ち上げていると思われる。

どこの市場を見ても全体的に安心感やリスクオンの雰囲気が広がっていることが感じられる。米国の最新の雇用統計が強い結果となったことも支えになっているだろう。米中協議も英国のEU離脱も一旦の決着がつくまではまだ少しの時間があり、どちらも最悪のケースは避けられそうだという認識になってきた。「少し先にポジティブそうなイベントが待っている」という状況は、株式市場にとって最も理想的な環境であり、現在の株高基調はしばらく続く可能性がある。政治問題が片付き、米国実体経済やFRBの金融政策余地など本当の問題に注目が戻るまで多少待たされることを想定しなければならなくなった。株価があまりにも上昇するようであれば、そのときは空売りも検討していく。