米中部分合意で市場はリスクオン、FRBはバランスシート拡大を決定

米中部分合意で米国市場は株高債券安

10月11日、米国のトランプ大統領が中国の劉鶴副首相と会談を行い、通商協議が部分合意に達したことが発表された。主な内容としては、中国側は米国から農産品の大規模購入を行い、米国側は来週15日に予定されていた対中関税引き上げを見送る。

今回の部分合意は第一段階とされ、知的財産権や技術移転などのより核心的な問題の解決については第二段階または第三段階での合意を目指す。

米国の金融市場では株高債券安となり、リスクオンの値動きとなった。今回の合意は内容的には大したものではなかったように思うが、今後の交渉も含め、米中交渉が形として前進していることが好意的に受け止められたのだろうか。

為替市場では合意なき離脱回避の可能性が高まってポンドが買い戻されたことは別にしても、全体的にドル安の値動きとなっている。一方でリスクオフ局面で買われていた円や金はドル以上に売られている。

FRBは財務省証券の買い入れ開始を決定

昨日は米中合意の他にもう一つのニュースがあった。

FRB、月600億ドルの財務省証券購入15日に開始 来年第2四半期まで

最近のレポ市場の混乱への対応として、FRBは月額600億ドルの財務省証券の買い入れを、10月15日から2020年の第2四半期までをめどに開始することを決定した。目的が短期金融市場の安定であり、購入対象も期間が短い証券であることから、いわゆる量的緩和政策とは別のものとされている。米国の長期金利の上昇ぶりを見る限り、米中合意のほうが市場への影響としては大きかったのだろう。市場が政治に振り回される展開が長く続いており、金融政策への注目度が弱まっている可能性もある。

着々と消費される株高要素

短期的な市場の動向は置いておいて、気になるのは将来の経済や金融市場を支える要素が着々と消費されていっていることである。

今回の米中の部分合意はあまり中身のないものだが、市場は今後の交渉進展への期待を織り込むような動きを見せている。万が一、将来的に米中の完全合意があったとしても、制裁関税のない元の世界にもどるだけであり、それで終わりである。追加関税予告で株安となり、それの撤回で高値を更新していくような不合理な値動きがいつまでも続くとは思えない。

FRBの短期金融市場への資金供給も、FRBのバランスシートが拡大することに変わりはなく、将来の量的緩和余地は縮まった。利下げ余地についても、年内にあと1度程度の利下げが織り込まれていることから、25bp分は既に消費されているといえる。

今後の投資方針

基本的には米国の利下げからの量的緩和再開というシナリオを想定して、ドルに対して円や金を買っていくことを考えている。現在は円をメインに買っている。これは、米国の実体経済の減速が明白となる時、期待インフレ率の低下によって実質金利が上昇した場合に、金価格は下がるだろうが、円はキャリートレードの解消が勝って上昇する可能性があるからである。見込み通りに円建ての金価格が下がった場合は、そこで円から金に資金を移す予定でいる。