マネタリーベースで見るポンドの適正レート

前回の記事で英国のEU離脱は市場が織り込むほどネガティブなものではない可能性を考え、ポンドが大きく売られるようなら良い投資機会になることを指摘した。ではどの程度安くなれば買いなのか。今回はマネタリーベース比率を用いて、ポンドの適正レートについて考えてみたい。

まず対ドルでマネタリーベースを確認する。以下のグラフは米国と英国のマネタリーベース比率(左軸)とGBPUSD(右軸)のレートを並べたものである。

ひと目で分かるように、マネタリーベース比率と為替レートの傾向はよく一致している。現在の為替レートはこの傾向から乖離しておらず、特にポンドが割安になっているわけではなさそうである。国民投票でEU離脱が決定したあとの2016年後半〜2017年前半頃にポンドは底値をつけており一時的な乖離が見受けられた。現在はその水準に再び向かいつつあるものの、この間マネタリーベース比率も下落傾向にある。

次に対ユーロでマネタリーベースを確認する。以下のグラフは英国とユーロ圏のマネタリーベース比率(左軸)とEURGBPのレート(右軸)を並べたものである。

マネタリーベース比率が比較的安定している2010年〜2011年頃と2016年〜現在で比較してみると、マネタリーベース比率が若干上昇している割には為替レートの水準は同程度である。やはりこちらも特別にポンド安になっている印象は受けない。

予想とは異なり、対ドルでも対ユーロでもポンドはマネタリーベースから見て概ね適正なレートで推移しているようである。本来であれば各国の金融政策の見通しをもとに、マネタリーベースの将来の推移を見積もって分析を行うべきだが、現時点で金融政策の見通しを立てるのは難しい。非常に大ざっぱな見積もりとなってしまうが、GBPUSDもEURGBPもパリティを目指すような余程パニック的な値動きにならなければポンドの買いを考える必要はなさそうである。