米中通商協議の再開を市場はどう受け取るか

米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席29日に首脳会談を行った。内容的には米国側がやや歩み寄ったものとなっただろうか。

  • 通商協議再開
  • 第4弾対中追加関税の発動先送り
  • 米企業とファーウェイの取引を一部容認

これらの結果を金融市場がどう解釈するかが注目である。ここのところ、楽観的な株式市場と悲観的な債券市場の差が目立っている。

株式市場の投資家は通商協議の再開をそのまま世界経済にポジティブな要因として捉え、若干の株高を演じる可能性がある。一方で債券市場はFRBによる予防的利下げの緊急性が和らいだと捉え、利下げの折り込み具合を緩めるかもしれない。

再開される通商協議の先行きはどうなるだろうか。

米国側では2020年の大統領選での再選に向けて成果を求めるトランプ大統領と、対中強硬派との関係性が鍵を握る。トランプ大統領にとって株価は何より大事であるが、中国に対して厳しい姿勢で臨む必要にも迫られている。そのため、FRBの利下げによって株価を維持しつつ、対中協議ではこれ以上譲歩しないことを基本方針とするだろう。

中国側では国内経済が関税の悪影響にどこまで耐えられるかが鍵を握る。貿易戦争を通じて現時点でより大きいダメージを受けているのはおそらく中国である。米国による対中関税は今後の交渉期間中も維持されるため、中国は通商協議をあまり長引かせたくないだろう。とはいえ、習首席も米国に対して弱腰で臨めば国内での立場に影響が出てしまう。

米国と中国のどちらも国内事情を抱えており、どちらが先に音を上げるかはまだわからない。中国が目先の経済的犠牲を厭わずに交渉の長期化を覚悟しつつあることが、トランプ大統領を焦らせているのか。

米国の金融市場について言えば、株高はしぶとく延命される見込みが出てきた。トランプ大統領としては、FRBが期待通り利下げに動けばそれでよいし、そうならない場合は通商問題の解決が近いことを示せばよい。

ただ、株高に延命はあっても大幅な高値更新を肯定する要因はなく、米国経済が景気後退入りするまでの短期的な推移の違いであることに変わりはない。