6月FOMCでFRBは利下げを示唆、市場に従う中央銀行

6月18,19日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利は据え置きとなり早期の利下げは実施されなかったが、声明文やパウエル議長の会見の内容では今後の利下げ可能性が示された。その後の市場の反応を見ると、今回のFOMC会合の結果は概ね市場の期待に応えるものであったようだ。

声明文では「景気拡大を維持するために適切に行動する」ことが表明され、これまでの声明にあった「今後の政策決定に関しては忍耐強く」対処するという部分は削除された。記者会見ではパウエル議長が「予防は治療に勝る」と発言した。

会合を通じてFRBが発信したメッセージは市場が期待する7月の利下げを肯定するものだろう。また従来に比べて利下げ余地が小さいことについて、FRBが限られた利下げ余地を温存するのではなく、予防措置として早期利下げを実施することで最終的に必要な利下げ幅を小さく抑える道を選んだことを示している。これらはとても重要なメッセージである。

FOMC結果に対する金融市場の反応を確認する。

米国長期金利は事前に利下げを織り込んで大きく下がっていたが、さらに下落し、一時2.0%を割れる水準となった。実際に利下げが行われたわけではないので、しばらくはこの辺りの水準が底になるかもしれないが、債券市場が将来の利下げを積極的に織り込んでいく姿勢は今後も変わらないだろう。

S&P500指数は史上最高値を更新した。景気後退を懸念して利下げを要求しておきながら、一方で株価が最高値を更新するというのはおかしな話なのだが、催促市場とは投資家が主導権を握っている状態である。金利低下を前提として株価が膨張すればするほど、急落時に実体経済に与える影響が大きくなるため中央銀行が株式市場の投資家を罰することは難しくなる。

米ドルはトレンドを割り込んだようにも見える。FRBの緩和姿勢の強まりと米国の金利低下に応じて、ドルは順当に下落していくだろう。

米国の金融政策が明確に緩和方向に転じたことで、主要通貨のすべてが緩和環境に置かれることになった。結果として金価格が暴騰している。世界経済の減速傾向が濃厚であり、米国の景気拡大が最終盤にあるとすれば、この金の上昇トレンドはこれから長く続くことになるだろう。

FRBの緩和転換を中心として、低い長期金利、株高の延命、ドル安というトレンドは確定的になりつつある。気がかりな点があるとすれば、これらの認識が比較的明白で多くの投資家に共有されている可能性が高いということである。皆が同じ方向を見ていれば、値動きは極端に振れやすくなる。行き過ぎが起きやすくなる。

次の大きな転換点は米国の景気後退入りが明確になるときだが、そのときに低金利・株高・ドル安で逆向きなのは株高トレンドだけである。