パウエル議長が資産縮小の年内終了を表明、市場には強気相場の兆候

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が下院金融委員会で行った証言で、年内にバランスシートの縮小を停止することを表明した。また、バランスシート正常化終了までの具体的な計画についても、近く発表できるとの見込みを明らかにした。最終的な資産規模は3兆2000億~3兆4000億ドルになるとの試算が出ており、当初の見方よりかなり早い段階で縮小を停止することになる。

こうしたFRBの金融引締め撤回の姿勢は昨年末から徐々に確かなものとなってきた。米国株に代表されるリスク資産の力強い上昇に見て取れるように、これらは金融市場にすでに織り込まれている。

しかし、一方で米ドルはFRBの金融引締め姿勢が明確だった2018年の水準と変わらない水準で推移している。今年予定されていた2回の利上げが棚上げとなり、今後数年間の実施を予定されていたバランスシートの縮小も終了時期が大幅に早まったにもかかわらずである。

理由の一つは、FRBのハト化に合わせるようにして、各国の金融姿勢が同様にハト化したことだろう。

金融政策の方針を緩和方向に修正したのは米国だけではなく、EU、英国、オーストラリア、インドなどの中央銀行が相対的に流動性供給方向へ舵を切った。その分だけ、米ドルの減価圧力が弱まっている。

二つ目の理由は、投資家のリスク選好姿勢が強まっていることだ。

昨年後半のリスクオフ相場とFRBの引き締め姿勢軟化を受けて、金融市場では円や金が上昇していた。しかし今年に入ってから、株式市場の上昇と時期を合わせて円が下落している。金価格は上昇を続けているが今週は上昇にストップがかかった。世界的な金融緩和再開を想定すれば金価格のほうがより強いことは理解できる。それでも、投資家のリスクオン姿勢が強まる中で金利のつかない円や金に資金が流れにくくなっている可能性がある。

このような状況からほどほどのドル高が続くことは、FRBが様子見姿勢を続ける上で都合が良いだろう。輸入物価や原油価格が上昇しないならインフレ圧力が強まりにくいからだ。FRBが金融引締めを再開せずに済むということは、投資家にとっても都合が良いということである。

では、金融市場は昨年後半に経験した恐怖を忘れて強気姿勢を完全に取り戻したのか。そうなりつつある兆候が見られる。

今週発表された昨年第4四半期の米実質GDP速報値は予想を上回る強さで、内容的にも個人消費の堅調ぶりと設備投資の加速が目立った。中国経済の減速を中心に世界的な景気減速が懸念される中で、貴重な良いニュースだった。これを受けて市場では米長期金利が上昇し、米ドルが円や金に対して大きく上昇した。控えめではあるが米国株も上昇している。

最近の市場の特徴として、経済にとって悪いニュースが金融当局のハト派姿勢を期待させることで、市場には好意的に受け止められることが多い。もしそうであるなら、経済にとって良いニュースは逆に受け止められなくてはおかしいのではないか。米国経済が堅調なら、FRBは少なくとも市場が織り込むほどにはハト派姿勢を強める必要はないはずである。長期金利の上昇とそれに伴うドル高はともかくとして、株式市場が下落しないことには違和感がある。

見たいものだけを見て都合よく解釈するのは市場の常であり、投資家が思考の偏りを大きくしている証拠である。逆説的に、現在の強気相場はしばらく続く可能性が高い。