持ちこたえる株式市場、その裏で進む流動性の喪失

10月の世界同時株安の後、株式市場はボラティリティを拡大させたまま乱高下を繰り返している。以下はS&P500指数のチャートである。急落後に下落幅の半値ほどを戻し、方向感を探っているような動きとなっている。

株価の行方を決定する最重要項目は長期金利であり、長期金利が上昇すれば景気や企業業績にかかわらず、株式市場は流動性を確保できなくなる。量的引き締め政策が継続される以上、株価市場からの資金流出とそれに伴う株価の下落は避けられない結末であり、あとはそれがどのくらいのペースで進むかを見極めるだけである。

直近の米国の長期金利は3.2%程度まで上昇したところで頭打ちとなっている。この様子を見る限り、「量的引き締め政策によって株式市場の流動性が失われる」というシナリオは、市場参加者の間でまだ十分に共有されていないのだろう。量的緩和バブルの崩壊にはまだ猶予があるかもしれない。

米国中間選挙の前からトランプ大統領は、FRBに利上げをやめろと言い、OPECに原油価格の操作をやめろと言い、株式市場への悪影響を避けようとしてきた。株価は支持率に直結するため、今後も株価下落を防止する様々な手段を講じてくるだろう。

FRBのパウエル議長は相変わらず、「株価は金融当局が考慮する数多くの要因の1つにすぎない」との姿勢を変えていないが、今後の利上げペースについては慎重な姿勢も見せている。利上げ強硬姿勢の軟化は株式市場にいくらかの安心感を与える可能性がある。

利上げサイクルが及ぼす影響を注視-パウエルFRB議長

原油価格は10月以降急落している。最大の要因は、IEAやOPECなどが原油需要見通しを下方修正したこととされている。

この急落を受けてOPECは協調減産の再開準備に入ったが、原油価格急落と株式市場の急落が同時期に発生したことを踏まえると、根本的な原因はどちらも流動性の喪失であり、需要見通しの引き下げは理由付けに過ぎないようにも思える。

そうだとすれば、OPEC協調減産やイラン原油の輸出制裁でも、原油価格の上値は限られそうだ。原油価格の動向は金融市場から流動性が失われているかどうかのバロメータになるかもしれない。いずれにせよ、原油価格の下落はインフレ圧力の緩和であり、株式市場にとっては好ましい流れである。

その他に気になる点として、金価格が上昇を始めそうな雰囲気がある。金融緩和の再開を織り込むにはさすがに早すぎると思うが、米利上げの終わりが近いことやリスク資産の価格がピークを過ぎたことを、市場が感じ取っているのかもしれない。

全体的な相場観としては、量的緩和バブルの崩壊は少し先送りされた感がある。米中の貿易戦争が落ち着きを見せ、米国の財政赤字やインフレにテーマが移るような展開になれば、長期金利が再度上昇し始めるのではないか。

量的引き締め政策が金融市場に及ぼす影響を投資家が十分に理解しなくとも、着々と流動性は失われつつあり、金融市場の収縮は進んでいる。それらが顕在化するペースやタイミングの差はあれど、最終的な結末に変わりはないだろう。