再びの世界同時株安もバブルの崩壊はまだ少し先

ついにリスク資産からの資金流出が米国まで波及した。

金融市場は2月の世界同時株安を再現するかのような動きとなっている。長期金利の上昇が再び株式市場の下落を引き起こした。

国外の株式市場の下落をよそに、ここまで堅調な推移を見せていたS&P500も高値から7-8%下落している。

では、今回の株安は量的緩和バブルの崩壊にあたるのかというと、そうは考えていない。バブルの崩壊とは市場参加者が揃って楽観に染まったときに起こるものである。最近の金融市場では特に米国経済の先行きに関して楽観的な見通しが見られたものの、長短金利の水準や米中の通商問題などに対する懸念も根強く、楽観一色とは程遠かった。バブル崩壊の条件はまだ整っていない。

また、中間選挙を控えたトランプ政権が金融市場の動向をかなり気にかけている様子が伺えることも重要だ。株高を自らの手柄としてアピールしてきたトランプ大統領にとって、このタイミングで株安となってはまずいのである。

今回の株式市場の急落を受けて、トランプ大統領はFRBの利上げが原因だと主張し、低金利環境が好ましいとしている。これらの言動がFRBの利上げ路線に影響を与えることはないとしても、市場にはポジティブな要素として受け入れられる可能性がある。さらに、米国が来月末のG20に際して米中首脳会談の開催を中国に打診したことも、貿易戦争の加熱にブレーキをかける要素としてリスクセンチメントを改善させるだろう。

トランプ大統領が実際にはFRBの利上げを止められないとしても、米中首脳会談が貿易戦争を収束させられないとしても、市場がそれらを信じたいと思えば、ポジティブな要素として解釈されてしまうのである。楽観が強まった金融市場では誰もが株高につながるような、都合の良い情報にしか目を向けなくなる。「長期金利の上昇は強い経済成長を反映しており、好ましいものだ」とか、「長い上昇相場にようやく調整が入って一安心」というような主張がそれを表している。

今回の株安で長期金利はやや低下したものの、未だ3.1%を上回る水準である。投資家はまだまだ強気であり、今回の下落はバブル崩壊のレベルには至らない。

おそらく、米国株はこのまま下落してはいかずにもう一度上昇するだろう。市場を楽観が支配するような、そういう局面が来るまでは本当の下落はやってこない。米国株が下落前の水準まで戻す可能性は低いと見ているが、株価の水準そのものよりも、市場を包む楽観の度合いを注視していく必要がある。