日経平均の急騰を誰が説明できるのか

日経平均は今年5月頃から23,000円の壁を超えられずに上下動を繰り返していたが、ここにきて明確に水準を上げてきた。年初の高値に迫る勢いである。

米国の金融引締めを受け、リスク資産市場から資金が流出する中で、この急騰は正直に言って予想外だった。最初に新興国の株式市場が崩れ、次に欧州株が崩れた今、日本株が下落するのは時間の問題であると考えていた。

あるいは下落しないにしても、米国株の強さに支えられる形で日経平均が息をつなぐという展開がせいぜいと思われた。実際にはむしろ逆で、日経平均の突然の上昇が米国株を含む他の金融市場にリスクオンをもたらした。

S&P500指数は未だ最高値を更新中である。NASDAQやRussell 2000指数はここまで強くはないが、それでも上昇傾向を維持している。今のところは下落の兆しは全く見当たらない。

新興国株式市場やコモディティ市場など、先に下落し始めた資産にも短期的に資金が戻ってきている。とはいえ、決して下落の流れが覆ったわけではない。あくまで、下落の中での一時的な回復局面といったところか。

為替市場ではドル独歩高が修正されている最中だが、ドル円は112円台半ばまで上昇した。このあたりからも、市場のリスクセンチメントが改善している印象を受ける。

以上のように直近の金融市場は、量的緩和バブルの崩壊がやや遠のいたような値動きとなっている。では、なぜリスク資産市場に一時的ではあれ資金が戻りつつあるのか、なぜ日経平均は急騰したのか。その答えはわからないが、特に理由はいらないのかもしれない。

金融引締め環境において、今回の上昇がどれだけ不合理なものであっても、このタイミングで日経平均の空売りを増やすのは怖い。市場はとっくに理屈では動いていないように見える。先週は800円以上、今週は900円以上値上がりした日経平均株価が、来週1000円上昇したとして、なぜいけないのかということである。そういう値動きに対して、今さら合理性や正しさを求めても無駄である。

少なくとも、近視眼的な金融市場にとっては、エスカレートする米中の通商問題や難航する英国のEU離脱交渉など、国際政治上の問題はすでに賞味期限切れであるようだ。これらはもはや相場調整のきっかけにはならず、ほとんど市場に影響しなくなっている。

最後に、9月に入ってから米国長期金利が急上昇しており、気がつけば5月の水準まで戻ってきている。米国債市場からリスク資産に資金が戻っているならば、それは長期金利の上昇と同義である。そして、長期金利が上昇するならば、その他の金融資産は価格の下落なしには、リスクに見合うリターンを提供できなくなる。どんな市場の楽観も、この原理原則をいつまでも無視することはできない。