下落する金融市場、続く金融引締め政策

ジャクソンホールの講演でFRBのパウエル議長は、米国経済の堅調さとインフレ加速懸念の後退にふれつつ、金融引締めを継続する姿勢を示した。金融市場の動向が軽視されていることが、金融危機の再来を懸念させる。

金融市場ではリスク資産からの資金流出が続く中で、米国株の上昇は未だ続いている。最後の砦である米国株が崩れるまでは時間の問題だと思うが、バブルの空売りほど怖いものはないので、あくまで慎重に状況を把握したい。リスク資産からの資金流出と一言で言っても、各資産クラスごとに細かい動きには差が出ている。大きな流れとして全体像を正しくつかんでおきたい。

まず、米国の長期金利は3.0%を上回ることなく頭打ちになっている。金融引締め環境の中でのこのような動きを説明するには、米国債市場に資金が流入していると考える必要がある。そしてそのためには資金の出どころがあるはずである。

米国株は2月の高値を更新して、史上最高値を記録している。米国株を積極的に買う理由があるというよりも、値上がりが期待できるものがもはや米国株しかなく、そう考える投資家の行動が自己実現的に機能しているように思える。行き場を失った投資資金の受け手となっている米国株式市場を、正当化できなくなったときがバブルの終わりだろう。

米国以外の先進国株式市場は、やや動きに差が出てきている。日経平均は米国株の上昇に支えられるような動きで、今のところ大きな値崩れとはなっていない。ドイツ株は一足先に下落トレンド入りしたようにも見える。EU離脱で揺れる英国株もかなり厳しそうである。

新興国株からの資金流出は続いているようだが、すでに大きく値を落としている分、その勢いはやや和らいでいる。今後しばらくは先進国株の下げ方のほうがきつくなるかもしれない。

株式市場の動きだけを確認してみても、

新興国 > ドイツ株、英国株 > 日本株 > 米国株

というように、リスクが大きい(と考えられている)順に下落が伝搬してきていることが明らかである。バブルの最後の局面に入っていることを改めて確信している。

ただし、バブルだからこそ、米国株がここからさらに上昇の勢いを増すようなシナリオを頭に入れておく必要がある。価格の上昇が拠り所になって、さらなる価格の上昇を呼ぶのがバブルだからである。他の資産クラスが下落するほど、唯一上昇が見込める米国株にますます資金が集中しやすくなる。

だから、いくら上昇の仕方が不合理に思えても米国株の空売りはやめておいたほうがいい。上昇する力はもうないが、まだ下落もしていないという点で、現時点の空売り候補筆頭は日経平均かもしれない。