ドル円空売りのヘッジとしての原油空売り

前回の記事で今後のドル円相場が下落していく展開を考えた。

今度は、ドル円の空売りポジションを考えたときに、どんなリスクシナリオがあるかを考える。そしてその結論は、ドル円の空売りのヘッジとして、原油の空売りを検討するというものである。

まず、現状でドル円空売りのリスクは大きく2つ存在するのではないか。

  1. 金融引締めとリスクオンの共存
  2. インフレによる米実質金利低下

一つ目のリスクシナリオは、金融引締めとリスクオンの共存である。

米国が金融引き締めを進める中で、なぜドル円の上昇が弱いのかということに対する仮説の一つが、円を調達通貨とするポジションの解消が円買い圧力となっている可能性である。したがって、何らかの理由で市場がリスクオンとなり、リスク資産からの資金流出がとまればドル円の下落圧力も弱まることになる。

しかし、今のところ資金流出がストップするような兆候はなく、きっかけとなるような要因も見当たらない。米国第2四半期GDPが発表され、米国経済の好調さが確認されたものの、利上げを後押しする側面もあることから、必ずしもリスクセンチメントを改善させるとは限らない。

二つ目のリスクシナリオは、インフレによる米実質金利低下である。

長期金利はやや伸び悩んでいるものの、インフレ率が低下する形で実質金利が上昇すれば、ドル円の上昇につながる。しかし、関税の掛け合いと緩いドル高で輸入物価が上昇しやすいこと、原油価格が高止まりしていること、そして米国経済が好調であることなどを踏まえれば、インフレ率はむしろ上昇していく可能性のほうが高いだろう。

以上のことから、考えられるリスクシナリオの二つとも実現する可能性は低い。ドル円の空売りは比較的安全なトレードになるかもしれないというのが、現在の結論である。ただし、一つ気がかりなことがある。収束する気配のない貿易戦争に対して、原油の置かれた状況は変わりつつあるのではないかということである。

トランプ大統領は先日、利上げを好ましくないとする旨の発言を行った。これは、11月に中間選挙を控える中で、利上げによる経済や金融市場への悪影響を懸念してのものと見られている。そしてその前には、OPECに対して原油価格の引き下げを要求している。これは、原油価格がインフレ率を押し上げ、それが利上げペースを加速させるという懸念によるものだろう。

貿易戦争の中止と、原油価格の引き下げ。インフレ率上昇を避けたいトランプ政権にとって、どちらが容易であるかを考えれば、今後のトランプ政権は原油価格の押さえ込みに出るように思えて仕方がない。現に先日の発言では、利上げを批判する一方で追加関税に言及しているのである。トランプ政権が貿易戦争の継続の代わりに原油価格の押し下げを狙うとすれば、これは上記リスクシナリオの二つ目につながるのである。

したがって、ドル円空売りのヘッジには原油の空売りが一つの候補に挙がるのではないだろうか。