トランプ大統領が利上げを批判、追加関税に言及

トランプ大統領が主にドル高を理由にFedの利上げを批判し、米国に輸入される中国製品全てへの追加関税について言及した。

このタイミングでの利上げ否定発言は、11月の中間選挙を見据えてのものだろう。利上げによって中間選挙前に米国の経済状況が悪化したり、米株式市場の暴落が起きては困るということだ。さらに、外交面でのリスクを冒して輸入品に関税をかけたところで、ドル高が進んでしまっては意味がない。このあたりは、インフレによって利上げペースが速まることを嫌がったと思われる、最近の原油高批判と通ずるものがある。

この発言に対する市場の反応を確認してみると、まず長期金利は上昇している。

長期金利が上昇しているということは、市場はトランプ政権の意向によってFedの利上げペースに影響が出るとは考えていないということになる。

次にドル円の動きを見てみると、こちらは大きく下落している。

米国の長期金利が上昇したのにも関わらず、ドル円が下落しているということをどう解釈すればいいだろうか。追加関税が米中の貿易戦争懸念を引き起こし、リスクオフとなったと素直に考えればいいのか。そうだとすると、長期金利は低下しないとおかしい気がする。

では、関税によって輸入物価が上昇し、利上げペースが速まるというシナリオはどうか。それならば、長期金利が上昇してもおかしくはない。しかし、代わりに今度はドル円の下落が説明できなくなる。長期金利の上昇とドル円の下落を同時に説明できるとすれば、円を調達通貨としたキャリートレードの解消だろうか。

追加関税 -> 貿易戦争懸念 -> リスクオフ

追加関税 -> 輸入物価上昇 -> 利上げ加速 -> リスクオフ

やや強引な気もするが、長期金利の上昇を考慮すれば、下のシナリオが意識された可能性はある。いずれにしても、今回の発言に対して市場は、利上げへの影響よりも追加関税のほうを重視したということだろう。

仮に、利上げ(とマネタリーベース縮小)による金融引締めがキャリートレードの解消を進めているとするならば。米国の金融引締めにも関わらず、ドル円の上値は限られているのかもしれない。