債券市場と金利

債券とは、政府や企業が資金調達のために発行する有価証券である。債券の保有者には定期的に利息(クーポン)が支払われ、満期日になると額面金額が返済される。債券の価格(金利)には大まかな理論値が存在し、その点において株式とは異なる。

債券市場が重要である理由は、債券市場が金利を決定し、その金利が株式や為替など他の市場に影響を与えるからである。金融市場を分析するには、まず初めに債券市場の動向を見る必要がある。

少しわかりにくいが、債券の金利は利息とは別のものである。利息が(1年ごとに額面の1%など)予め決定されているのに対して、金利は債券の価格によって変動する。例えば一年後に100万円が償還される債券が98万円で取引されていれば、金利は約2%である。しかし、取引価格が97万円になれば金利は約3%になる。

債券の金利(価格)には3つの決定要因がある。

債券の金利 = 期待実質経済成長率 + 期待物価上昇率 + リスクプレミアム

経済成長率

発行者が債券を発行して借金をする理由は、事業の利益が借金のコストを上回るからである。例えば5%の利益を上げられる事業があるとして、金利が5%を下回っているのなら、借金をして事業を行うインセンティブが生まれる。こうして借金をする人が増えれば、理論的には金利は次第に5%に均衡していく。

これをより大きな視点で見れば、ある国の経済成長率に関しても同じことがいえる。期待される経済成長率が5%であるとすると、その経済を構成する各事業ではおおむね5%の利益が出ると考えることができる。したがって、その国の金利は期待される経済成長率に近くなるはずである。

物価上昇率

100万円を債券に投資して、1年後に102万円を受け取ったとする。仮にその1年の間に物価が3%上昇していたら、債券への投資によって実質的に1万円の損をしたことになる。したがって、適切な債券価格を決めるためには物価変動の影響を考慮しなければならない。

リスクプレミアム

債券に投資する際のリスクは、利息の支払いや元本の償還がなされない可能性である。デフォルト(債務不履行)にもいくつかのパターンがあり、返済期限の繰り延べや債務の削減など、必ずしも全額が返ってこないケースだけではないが、一般的にリスクが大きければその分だけ高いリターンが求められる。

多くの場合、債券には格付機関による格付が行われており、その債券の発行体の健全性の高さが評価されている。先進国政府が発行する国債はデフォルトの可能性が極めて低いと考えられており、リスクプレミアムは実質0とされる。企業が発行する社債の中でも、倒産の可能性が高い企業が発行する社債はジャンク債と呼ばれ、優良企業の社債よりも金利は高くなる。