典型的なデレバレッジの流れ

金融危機後のデレバレッジの最初の段階で、政府はまず税収を求めて税率を上げようとする。大抵の場合は、最も効果的な所得税と消費税が上げられることになる。しかし、増税は経済にブレーキをかけ、結果的に税収は減ってしまう。また、富裕層は資産価格の下落、インフレ、高い税率などを嫌い、国外へ資産を持ち出そうとする。

やがて失業率が上昇してくると、労働者と政府は保護主義に走り、通貨安を望むようになる。保護主義は景気を減速させ、通貨安政策は資金の国外への流出をさらに拡大させる。

資金の国外流出が加速する時、中央銀行には2つの選択肢がある。

  1. 流出した分を通貨発行によって補い、さらなる通貨安を受け入れる
  2. 通貨は発行せず、マネーの不足を受け入れる。

通常は、通貨価値よりもマネー供給量が優先されることが多い。理由の一つは、資金流出が起こる局面において、通貨価値を保つことが極めて難しいからであろう。資金流出を防ぐためには、例えば利上げをすることで自国通貨の魅力を増す必要がある。しかし、景気後退局面で利上げを行えば、弱った経済にとどめを刺すことになり、かえって通貨安を招くことになってしまう。

中央銀行が新規通貨発行の道を選ぶと、マネー供給量が増え、通貨安が進み、経済はインフレ環境になる。その結果、資金はインフレヘッジ資産(ゴールドや不動産など)に移動するか、国外へ流出していく(自国通貨で借り入れをして、海外の金融資産を買うなど)。政府は為替レートの管理を試みたり、ゴールド保有に制限をかけるようになる。

以上のようなデレバレッジの期間を通じて、経済では以下のような変化が進む。

  • 多くの債務がデフォルトや再編を迎える
  • 家計や企業が抱える債務が減る
  • 人件費等のコストカットによって企業の損益分岐点が下がる
  • 金融資産の価格が下落する

多くの痛みを伴いながら債務は解消されていき、デレバレッジが完了する。一般的に、経済が金融危機前の規模に戻るには10年がかかり(失われた10年)、株価がもとの水準に戻るには20年以上がかかる。