デレバレッジの手段

金融危機は経済が過剰な債務負担に耐えられなくなった時に起こる。利下げによる金融緩和余地が残っていなければ、債務の解消には特別な手段が必要となる。デレバレッジとは、過剰な債務を解消するプロセスであり、主に4つの手段がある。

  1. 債務削減
  2. 緊縮財政
  3. 富の再分配
  4. 通貨の発行(量的緩和)

大まかにいえば、1~3はデフレ圧力を、4はインフレ圧力を経済に対してもたらす。これら4つの手段を適切に組み合わせることができれば、債務の解消は順調に進む。バランスを間違えると、経済が深刻なデフレに陥ったり、ハイパーインフレが発生したりするリスクがある。

債務削減

債務の再編を通じて債務の条件を緩和する(支払期限の延長や元本金額の削減、利率の引き下げなど)ことで、債務者の負担を軽減することができる。しかし、貸し手に取っては所得の減少を意味し、経済にはデフレ圧力がかかる。

緊縮財政

家計も政府も、支出を削減することで所得の大部分を債務返済に充てることができる。しかし、支出の削減はそのまま所得の削減に繋がり、経済にはデフレ圧力がかかる。

富の再分配

経済規模が縮小するとそれに応じて税収も減るため、政府は高所得者向けの税率を上げることで、失業者などへの保障の財源を確保しようとする。しかし、所得そのものが減少している局面では、増税による税収の増加はそれほど期待できない。むしろ、高い税率を嫌った富裕層による国外への資産の持ち出し(キャピタルフライト)の恐れなど、デメリットのほうが大きい。

通貨の発行(量的緩和)

中央銀行は新たに発行した通貨で国債などの金融資産を買い取り、金融市場にマネーを供給することができる。政策金利が0%まで下がりきっている場合でも、国債の買い入れによって長期金利を低下させることができれば、債務の利払い負担を軽減することができる。また、中長期の金利が低下することで、株式などのリスク資産に資金が移り、資産効果によって支出の増加を促すことができる。しかし、行き過ぎた緩和が過剰なインフレを引き起こす危険がある。