金利上昇でも崩れない新興国株式市場、米国株の先行指標として

3月16,17日にFOMCが開催され、今年の米国の経済成長とインフレの見通しが引き上げられたものの、金融政策の変更は当分ないとの考えが従来通り維持された。

米FRB、景気見通し引き上げ ゼロ金利と量的緩和は維持

上昇する長期金利の先に待つ転換点

FRBの見解としては、インフレ率の上昇は(ベース効果やペントアップ需要による)一時的なものであり、あくまで中長期的な政策金利の見通しには影響を与えないものとされている。米国の長期金利は着々と上昇を続けており、期待インフレ率と実質金利のどちらも上昇傾向にある。中央銀行と市場参加者の認識がずれ始めている可能性がある。

上がった長期金利が金融市場や実体経済へ及ぼす悪影響を懸念して、FRBが長期金利をコントロールしようとするのではないかという見方もある。以前から書いているように筆者はこれがこれから先の相場で重要なテーマであると考えている。しかし長期金利への直接的な介入が起きるのは、何か無視できないような問題が現実に発生して、中央銀行がそのことを認識したあとの話だろう。

この転換点がいつになるかということについては、少し前に株価下落率の観点から考えた。

長期金利はどこまで上昇するか? 株価からの観点

また、米国株が大きく下落するような状況では経験的に、新興国株式市場などのよりリスク度が高いと考えられている市場から先に下落が始まる。為替市場には既にその兆候が見られるということを以前書いている。

米長期金利上昇で新興国から資金が流出、ドル安は終了か

2018年の新興国株式市場の下落

今回は新興国株式市場が米国株式市場の下落の先行指標になるかの参考として、2018年の下落相場を振り返ってみたい。当時のFRBは金融引き締めを行っており、その影響で米国株は最終的に20%以上も下落したのである。以下に2018年の米国株と新興国市場のチャートを並べる。

米国S&P500指数

9月末に下落が始まっている。

中国CSI300指数

1月末に下落が始まっている。

インドSENSEX指数

8月末に下落が始まっている。

ブラジルボベスパ指数

2月末から5月中旬のレンジ相場のあと下落している。

ロシアRTS指数

2月末に下落が始まっている。

主要な新興国株式市場として、中国、インド、ブラジル、ロシアの株式指数のチャートを確認した。ここに挙げた指数が新興国株式市場全体の動きを表しているわけではないし、下落の開始をどこに読み取るかという点などは恣意的になってしまうが、ざっくりと言えるのは以下の二点だろう。

  • 四つの市場全てについて米国株より下落開始時期が早かった
  • 期間としては1ヶ月〜8ヶ月先行していた

下落相場の一例に過ぎないので期間については参考程度だが、新興国市場のほうが先に下落するという点についてはある程度信用してもいいのではないか。

現在の株式市場

では現在の各市場の動きはどうなっているだろうか。最近の金利上昇で米国株は値動きがやや不安定になっているが、新興国株式市場で下落は始まっているのだろうか。同じようにチャートを並べていく。

米国S&P500指数

中国CSI300指数

インドSENSEX指数

ブラジルボベスパ指数

ロシアRTS指数

株式市場の下落はまだ始まっていなさそうである。一番怪しいのは中国の指数だが、2018年のように数ヶ月の時差があると考える場合は米国株の本格的な下落はまだ先ということになる。

まとめ

長期金利の上昇が株価の下落を引き起こすというシナリオについて、筆者は米国株より新興国株が先に下落し始めると考えている。一例として2018年の下落相場のケースでは、米国株のピークは新興国市場のピークより1ヶ月〜8ヶ月程度遅れていた。現在の新興国の株式指数は金利上昇局面の中でまだ下落していないように見え、この状況が続く間は米国株の急落は起こりにくいだろう。