ECBが資産購入拡大、金利高騰でも株高継続の可能性

欧州中央銀行(ECB)が11日の理事会で資産購入拡大を決定した。

ECB、金利上昇抑制へ資産購入拡大 「かなり速いペース」で実施

米国のインフレ懸念を元とする長期金利の上昇が、日本や欧州を含む世界的な金利上昇トレンドへと波及していく様子は2月前半には確認できていた。

景気回復期待と通貨からの逃避、現在の市場を読み解く二つの要因

欧州では米国ほどインフレ期待が高まっていなかったため、名目金利と期待インフレ率の差である実質金利の上昇が米国よりも目立っていた。今回のECBの対応にはこの実質金利の上昇をストップさせる狙いがある。実質金利が高まれば実体経済に悪影響が及び、またユーロ高を招くことになるからである。

追加緩和を好感する金融市場

ドイツの10年金利のチャートは以下のようになっている。

2月末の時点で長期金利は一旦ピークを打っている。実質金利の上昇を受けて、ECBが追加緩和に動く可能性が織り込まれたのがこのあたりということだろう。それ以降、金利高騰はとりあえず止まっている。

追加緩和が金融市場に効いていることはドイツの主要株式指数であるDAX指数のチャートからも読み取れる。ドイツ株は高値を更新している。

米国の金利上昇は続く

金利上昇の震源地である米国では長期金利の上昇が止まっていない。

今月16-17日にはFOMCが開催されるが、FRBのパウエル議長は金利上昇について今のところ介入不要との考えを表明している。欧州では幸か不幸かインフレ期待がそれほど高まっていないため、追加緩和のハードルが低い。対して米国では現実的なインフレ懸念が存在するため、FRBは不用意に追加緩和に動くことができない。欧州と異なり金利高騰が止まっていないということは、市場はFRBが長期金利を抑え込みにかかるとは考えていないということになる。

止まった株安から読み取れること

米国のS&P500指数のチャートは以下のようになっている。

長期金利が上昇しつづける中で再び高値圏まで戻ってきており、株式市場の下落が追加緩和を催促するような展開にはなっていない。FRBが金利高騰を静観する姿勢を示し、市場がそれを信じている(から長期金利が上昇している)のならば、株安はなぜ止まったのだろうか。

高金利と株高が両立するようなシナリオといえば、高いインフレ率と低い実質金利の組み合わせが考えられる。それはつまり、インフレが勢いを増してもFRBがそれを看過し、緩和的な政策を継続するというシナリオではないだろうか。

直近の実質金利と期待インフレ率の動きを見てもそのような雰囲気が感じられるが、もう少し経過を見てみたいところである。

今後の見通し

「米国でインフレ亢進が起きた場合、FRBが適切に金融引き締めを実施する」という見込みを市場参加者が捨てつつあるのだとすると、今後の長期金利の上昇要因は実質金利ではなくインフレ期待ということになる。実質金利がこれ以上上昇しないとすれば、現在の株高が金利高騰にもかかわらずまだ続く可能性がある。