米長期金利上昇で新興国から資金が流出、ドル安は終了か

金融市場では米国の長期金利上昇が注目されているが、その影響の一つとして新興国市場から資金が流出し始めている。

上昇が止まらない長期金利

米国の長期金利は今週も上昇を続けて、一時は1.6%まで上昇した。

いつものように名目金利を期待インフレ率と実質金利に分解してみる。

金利上昇の要因は期待インフレ率から実質金利に変わってきている。投資家は金融引き締めを警戒している。

新興国から資金が流出

米国の長期金利は全ての市場に影響を及ぼすが、中でも影響が大きいものの一つが新興国市場である。米国の金利上昇は米国市場の魅力を相対的に高める。またドル建て債務を抱える新興国の債務負担を増加させる。そのため米国で金利が上昇すると新興国から資金流出が起きやすいのである。

以下はIIF(国際金融協会)の調査による新興国市場の資金フローのチャートである。

https://www.ft.com/content/41283847-30e4-49ef-82a0-9cd4dfca1c12

大まかに、昨年3月に新興国から大規模な資金流出が起こり、秋以降にワクチンによる景気回復期待で資金が戻り、それがまた流出し始めていることがわかる。米国で金利が上昇しているからである。

新興国通貨は世界的に下落中

株式市場だけを見ていると、米国でも株安になっているため状況が把握しづらい。しかし為替市場を眺めてみれば新興国から米国へ資金が移動していることはすぐにわかる。

ドル/人民元

ドル/ブラジルレアル

ドル/トルコリラ

ドル/タイバーツ

ここに挙げたチャートがほぼ同じタイミングでドル高に動いていることがわかるだろう。そして、一際目立つチャートがある。

ドル円

金融引き締めを織り込もうとする市場

少し前までは、米国で金融・財政両面から大規模な流動性供給が行われたことを理由にドル安が進むことが広く予想されていた。しかし、投資家が米国のインフレを心配し始めたことで、金融引き締めの可能性が織り込まれ始め、ドル高のトレンドを生みつつある。

これを表面的に受け取るならば、景気回復のための積極的な流動性供給が市場で評価されていることになる。しかし、そこには前提が存在する。景気回復と共にインフレが進むとき、適切に金融引き締めが行われるという前提である。そして筆者はこの前提を疑っている。

テーパリング懸念は続くか、緩和継続シナリオのトレード戦略

今後の見通し

米国の長期金利動向が他の市場の向かう方向を決めている。為替市場のトレンドはドル安からドル高へ変わった。株式市場はやや崩れている。金利上昇の影響は既に至る所に出ており、このまま上昇が続くようならば長く放置しておくことはできないだろう。