経済正常化相場はいつまで続くか

市場は着々とパンデミック終結後の世界へ向かうようだが、市場の都合は市場の都合である。ここしばらくの金融市場の動きを整理したい。

ワクチン報道による経済正常化期待の高まり

11月9日のファイザー製ワクチンの報道を皮切りに、新型コロナウイルスワクチンを開発中の各社からポジティブなニュースが飛び出すと、マーケットでは経済正常化期待が織り込まれ始めた。

ハイテク株中心のNasdaq指数と小型株中心のRussell 2000のチャートを見比べてみるとよくわかる。

ハイテク企業は行動規制の影響を受けにくいとして、Nasdaq指数は今年半ばまで市場全体を大きくアウトパフォームしてきた。中小企業は相対的にダメージが大きいとされ、Russell 2000の回復は鈍かった。しかし、11月以降はこの関係性が逆転している。投資家がパンデミックの終結と経済正常化を織り込んでいるのである。

膨らむ景気対策案への期待

米国大統領選を消化し、投資家の注目は米国の景気対策案に集中している。協議は相変わらず難航しているが、内容が確定していないということが今は良い方向に働いているようである。

昨日発表された米雇用統計では雇用の回復が鈍化していることが明らかになったが、米国の主要株式指数であるS&P 500は上昇した。

米雇用者数、11月は24.5万人増に急減速-感染拡大で回復抑制

これは景気回復の鈍化が景気対策案の早期実現や規模拡大を期待させたからだろう。景気対策案の内容が決まっていないことが、株高の根拠になっているのである。感染拡大でリスクオフとなっていた少し前までとはだいぶ雰囲気が変わっている。

ワクチン開発の進展だけでなく、金融・財政両面でのサポートが約束されている状況が投資家を安心させ、市場は明らかにリスクオンの相場になっている。ビットコイン価格の上昇に見られるような投機的な熱の盛り上がりも感じられる。

長期金利の上昇は続く

このような雰囲気の中、米国の長期金利は8月からずっと上昇傾向を保っている。

上昇ペースが緩やかであることに加えて、金利が問題になるほど上がればFRBが抑制にかかるだろうという見立てから、今のところ長期金利の上昇は市場のリスクオンに水を差していない。

以下は米国不動産ETFのチャートである。通常、金利上昇がマイナス要因となる不動産セクターも今のところ株式市場のリスクオンに続いているように見える。

今月15, 16日に開催されるFOMCにおいて、資産購入の拡大や対象年限の長期化を予想する向きもあり、上昇する長期金利への危機感は薄い。名目・実質ともに金利水準は低く、今すぐに市場の安定を崩す可能性は低いだろう。

今後の見通し

金融市場は経済正常化後の世界へ向けて動き出しており、現在のリスク選好の動きが少なくとも景気対策案がまとまるまでは続きそうである。その後どうなるかは不明であるし、個人的には新型コロナウイルスによるショックがこの程度で収束するとは考えていないが、短期的には強気な姿勢が奏功しそうな気がしている。