欧州でロックダウン再開、株価が示す市場の認識の変化

新型コロナウイルスの第二波到来によって、欧州各国ではロックダウンを含む厳しい行動規制が復活している。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65726500R01C20A1I00000/

この事態を受けて欧州株が大きく値下がりしている。以下は欧州の主要株式指数であるSTOXX600指数のチャートである。

数ヶ月続いていたレンジ相場を明確に下抜けした。春のロックダウンが企業収益に与えたダメージを思い出せば下落余地は大きいだろう。感染者数のみならず死者数が増加している点を見れば、医療機関のリソースは既に逼迫している可能性が高く、第一波の悪夢が再来するかもしれない。

一方で金融市場にとってより重要な米国の状況はといえば、新規感染者数は増え続けているものの、1日あたりの死者数に顕著な増加傾向は今のところ見られない。その分だけ、米国株も調整はしているものの相対的に強い値動きを維持している。以下は米国のS&P500指数のチャートである。まだ9月の安値を割り込んでいない。

リスクオフではない市場の反応

現在の市場の反応を見て読み取れることは、今起きていることは単純なリスクオフの値動きではないということである。以下は米国の10年金利のチャートである。

株安にもかかわらず長期金利は上昇している。今起きていることは、株式市場から債券市場への資金移動ではない。投資家は国債を買っていない。

次に金価格のチャートである。

8月の高値からの調整局面が続いており、欧州株安に対する反応はむしろ下落にも見える。ロックダウン再開はデフレ要因と考えられているため、金価格にはマイナスである(これは3月の下落局面で実際に起きたことである)。投資家は金も買っていない。

注目すべきは中国株の値動きである。以下は中国の主要株式指数であるCSI300指数のチャートである。

欧州株や米国株に比べて強い値動きとなっていることがわかる。単純なリスクオフ相場であればこのようにはならないだろう。

ちなみに日経平均株価もほとんど下落していない。

市場参加者の認識の変化

米国や欧州での株安にもかかわらず、長期金利は下がっておらず、中国株や日本株はほとんど下落していない。今起きていることは、典型的なリスク資産からの逃避というよりもコロナ被害の大きなエリアからの逃避である。言い方を変えれば、各資産クラスのリスク度合いが現在のコロナ被害状況で評価されているということである。

当たり前のことのように思えるかもしれないが、この事実は軽視すべきでない。なぜならば、このことは投資家が「新型コロナウイルスによる経済へのダメージは、現金給付や量的緩和によって穴埋めすることはできない」と考え始めたことを示しているからである。

5月から8月にかけて、欧州での新規感染が収まっていた期間に米国の新規感染者数は春よりも増加していた。にもかかわらず、米国株は欧州株を大きくアウトパフォームしていたのである。経済への悪影響は景気支援策で穴埋めできると考えられていたからこそ、米国株はコロナ前の高値を一時取り戻していたのではないか。もしこの認識が覆ったのだとすると、3月の底値からの戻りの相当部分が否定される可能性がある。