9月FOMC会合は中身なし、揺らぐ強気筋

9/15,16日に行われたFOMC会合では、「少なくとも2023年いっぱいまで現在のゼロ金利を維持する」というフォワードガイダンスが導入された。一方で、米国債と住宅ローン担保証券の買い入れについては「少なくとも現行のペースで」との表現にとどまった。

この発表を受けて米国株式市場は一時株高で反応したものの、その後は反落した。S&P500指数のチャートは以下のようになっている。

この値動きをどう見るかである。

株式市場にとって意味すること

まず、2023年末までのゼロ金利維持を約束したフォワードガイダンスについては、これは3年程度先までの話であるので主に影響があるのは短期金利である。株式市場にとって重要なのは長期金利であり、こちらは国債買い入れ規模がものを言う。そして米国債の買い入れ増額等の株式市場にとってポジティブな政策変更はなかったのである。

実際、米国の長期金利はFOMC会合の前後でほとんど動いていない。既定路線だったということである。

見込みのなかった追加緩和

確かに、6月会合の頃から米国でもイールドカーブコントロールに関する議論があり、FRBが中長期の国債の金利も操作対象とするシナリオが浮上している。株式市場の投資家にとっては金利上昇を心配する必要がなくなり、場合によっては長期金利が更に低下するわけであるから、導入されれば株高要素だろう。

しかし、イールドカーブコントロールについては未だ議論の途中であり、当局からも現時点での採用可能性は低いとの見解が示されている。

クラリダFRB副議長、YCCに含み-経済予測を「微調整」も

現在のFRBの立場としてはコロナ対策として打てる手は一通り打ってあり、物価上昇や失業率の低下のためには政府による財政支出が欠かせないのである。もちろん政策金利をゼロまで下げたあとでも、債券買い入れ額を増やすことによって住宅ローンなどの市中金利を下げ、景気支援をすることは可能である。しかしそれが必要となるのは(効果的な措置となるのは)住宅市場が不振に喘いでいる場合の話である。

堅調な住宅市場

コロナウイルスの感染拡大以降、人々が自宅で過ごす時間は増え、オフィスまで通勤する必要はなくなった。家計における住環境の優先度は上がり、都市部から郊外の広い住宅へ移住する動きも出てきた。結果として、住宅販売は中古・新築市場共にV字以上の回復を見せている。

米国中古住宅販売戸数 単位千
(https://tradingeconomics.com/united-states/existing-home-sales)
米国新築住宅販売戸数 単位千
(https://tradingeconomics.com/united-states/new-home-sales)

先行指標である建築許可件数は8月に頭打ちとなった感もあるが、決して弱い水準ではない。

米国建築許可 単位千
(https://tradingeconomics.com/united-states/building-permits)

不安要素としては、S&Pケース・シラー住宅価格指数の前年同月比の上昇率を見ると、2019年後半からの回復が腰折れになっている。

しかし住宅ローン金利の低下は続いており、住宅価格の伸びが回復基調にあった2019年後半に比べて金利が低くなっていることを踏まえれば、6月には減速していた住宅価格の伸びも再び加速するのではないか。

最後に残った強気筋

後出しになってしまうが、住宅市場が堅調であること以外にも、平均インフレ目標を導入したばかりであることや、大統領選挙や追加景気対策に関する不確実性が控えていることを考えれば、今回の会合で国債買い入れ増額等の追加緩和がある見込みは薄かった。それでもFOMC会合後に株価が下落したということは、市場には追加緩和を織り込んでいた人々がいたということである。

この状況で追加緩和を期待したり、米国株を大幅に買い持ちしている層とは市場参加者の中でも最も楽観的な層だろう。思うに現在の株式市場にはそうした最後の強気筋ばかりが残っており、市場を動かしているのではないか。最近のハイテク株の軟調さにもそのような雰囲気を感じる。現在はその最後の強気筋が9月始めからの株安を受けて揺らいでいる相場なのである。今回のFOMC会合でFRBは彼らを手助けしてはくれなかった。

今後の見通し

今後の相場観としては、株価が反発するならばそのときは長期金利が上昇している可能性が高いので、金利低下に賭けるのが良いだろう。これは前回の記事で述べた通りである。

株安の原因は流動性不足か、米国債に妙味

株価はある程度下落したとはいえ強気筋はまだまだ株を売っていないし、FRBがこの程度の下落で動くことはない。株に買いを入れるとしたら少なくとも更なる下落が起きてからだろう。