長期金利の上昇が示す流動性不足、株価調整の可能性

米国の長期金利が上昇している。8月始めまでは一貫して下落しており、一時は0.5%近辺まで低下していたが、現在は0.7%あたりまで上昇している。

一方、S&P500指数は金利上昇後も変わらず上昇傾向にある。

現在の株高は政府の経済対策への期待と、中央銀行による人為的な低金利に支えられている。しかし、株高の原因である低金利が0.2%ほど巻き戻されても株価は下落していない。6月の始めにも同じような局面があり、そのときは株価の調整があったが今回はどうなるだろうか。株高債券安の動きは株式市場と債券市場が資金の奪い合いをしているシグナルであり、市場の流動性が不足し始めている可能性がある。

そこでマネタリーベースの動向を確認してみると、6月以降は下落傾向にあったものが一旦下げ止まっている。

流動性の供給が停止された状況で金利上昇が始まったのならば、株価を支えるためにはマネタリーベースが再び増加しなければならないかもしれない。ただし、FRBが一旦落ち着いた資金供給を再拡大するとしたら、それは金利の上昇が株価の下落を引き起こしたのを受けてからになるだろう。順序として、株価の調整が先ではないかということである。

流動性が不足しているかどうかの別の目安は小型株中心のRussell 2000指数の動向である。

新型コロナウイルスによる経済へのダメージは大企業よりも中小企業で深刻なようである。Russell 2000指数の上昇もやはり低金利によって支えられているのであり、チャートを見る限り、現在起きつつある金利上昇はまだ株高を崩してはいない。

まとめ

現在の市場では株高債券安の動きが起き始めており、長期金利がこのまま上昇するならば6月のような株価の調整は避けられないだろう。株高と低金利の両立のためには減少傾向にあるマネタリーベースの再拡大が求められるが、FRBに行動を促すには先に株価が一定程度下落する必要がある。流動性不足の兆候が最初に出るのは小型株中心のRussell 2000の可能性が高く、その値動きに注目すべき。