コロナウイルス: 世界経済への影響の現状まとめ

中国武漢発のコロナウイルスの感染者拡大が止まらない。金融市場への影響は未だ限定的だが、実体経済への悪影響は着々と広がっている。

感染は現在も拡大中

ジョンズ・ホプキンス大学が公開している感染マップによれば、感染者数の推移は以下のようになっている。上が感染者数の合計で下が1日ごとの増加数である。

感染者数は増え続けており、今のところ終息の目処は立っていない。2月13日に感染者数が一気に増えているのは、湖北省が開示基準を変更したことで、それまでウイルス感染者としてカウントされていなかった人々が統計に含まれるようになったからである。感染の実態は当初発表されていたよりも深刻だったということである。

世界経済への影響

震源地である中国経済の状況については既にいくつかのデータが報じられている。

例えば、中国の国内旅客者数は前年同日比で8割以上も減少しており、人の移動が滞っていることが分かる。春節で帰省した人々が職場に復帰できていない可能性もあり、経済活動への影響は大きいだろう。

Source: capitaleconomics.com

発電所で消費される石炭の量も例年に比べて非常に低調であり、工場での生産活動が停止されていることを示している。中国政府は生産再開を呼びかけているが、正常化する様子はない。

Source: capitaleconomics.com

中国以外の国にとっても経済への影響は当然避けられない。中国市場での売上が全般的に減少するのはもちろん、サプライチェーンの乱れによって部品を調達できなくなったメーカーが工場を停止したり、感染拡大防止のために各地でイベントが中止されたりと、影響が出ている。今後、各国で入国禁止の動きが拡がるような事態になれば、観光業や小売業へのダメージは拡大するだろう。

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他にも、OPEC(石油輸出機構)はコロナウイルスの感染拡大の影響を理由に今年の世界的な原油需要の伸びの見通しを下方修正した。中国は世界最大の原油輸入国である。WTI原油価格は$50近辺まで下落している。

さらに、ばら積み船の運賃を指数化したものであり、世界貿易の活発さの目安として用いられるバルチック海運指数の下げも目立っている。米中貿易戦争の見通しに大きく左右されてきたこの指数だが、2019年2月頃の水準を下回る位置まで下落している。

まとめ

以上のようにコロナウイルスによる経済への悪影響は無視できないレベルのものになっている。2003年に流行したSARSと比較されることが多いが、当時とは中国が世界経済に占める割合も、中国人観光客の数も桁違いである。感染拡大もいずれは収まり、GDPの下押しも主には第1四半期のみに留まるのだろうが、コロナウイルス出現前の段階から中国や欧州で経済減速の兆候が見られていたことを忘れてはならない。

また、コロナウイルスの脅威について特に株式市場の織り込み方が甘いように感じている。航空産業、観光業、中国市場の売上比率が高い企業などで、更なる下落の可能性を見込んでいる。中国政府が大規模な景気支援策に打って出るかどうかや、Fedの短期市場への資金供給縮小の動向にもよるが、もし値下がりする局面があれば積極的に買っていきたい。